
大学サッカーのリアル #2:「地方大学」という選択肢──関東だけが正解じゃない
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えた。今回はその続きだ。
新潟に、全国の決勝で3回泣いた大学がある。3回、である。
──関東だけが、正解じゃない。今日はこの大学の話をさせてほしい。
INDEX
1. 3度、日本一の一歩手前で泣いたチーム
新潟医療福祉大学。名前を聞いたことがあるだろうか。
新潟県を拠点に、北信越大学リーグ1部を戦うチームだ。前回説明した「地域の大学リーグ」のひとつで、リーグ全体のレベルや注目度はまだ関東・関西に届かない。それが現実だ。
そのチームが、全国の頂点まであと一歩のところに3回たどり着いている。
- ・2022年度インカレ(全日本大学サッカー選手権):初の決勝進出。準決勝で総理大臣杯王者・国士舘大を1-0で下すも、決勝で桐蔭横浜大に2-3。あと1点届かず、準優勝。
- ・2024年度総理大臣杯:準決勝で関東の名門・筑波大と0-0からのPK戦。GK桃井玲選手が2本止めて決勝へ。その決勝は阪南大に1-2。
- ・2024年度インカレ:3度目の決勝。東洋大に敗れ、「3度目の全国準優勝」。
3回、決勝で負けた。言い換えれば、日本中のどの大学よりも多く「あと一歩」を知っているチームだ。

2. “関東強豪撃破”の夜──22戦無敗の明治大を倒した日
2024年度のインカレは、このチームの強さが最もよく表れた大会だった。
グループリーグ初戦の相手は、夏の総理大臣杯決勝で敗れたばかりの阪南大。そのリベンジマッチで、なんと6ゴールの大勝。そのまま3連勝でベスト8に進んだ。
そして準決勝。相手は前回王者で、関東1部を22戦無敗で駆け抜けた明治大。試合は0-0のままPK戦にもつれ、ここで再びGK桃井選手が立ちはだかった。3人目、4人目を連続ストップ。PK4-3。前回王者が、大会から姿を消した。
実はこの試合、相手のPKのコースを読む役割を担っていた主将のDF秋元琉星選手(ザスパクサツ群馬内定)が出場停止。桃井選手はその役割まで自分で背負ってのセーブだった。
決勝では東洋大に敗れ、日本一にはまた届かなかった。それでもMIPを受賞したMF松本天夢選手の言葉は「優勝できず悔しい」。全国準優勝を悔しいと言い切れるところまで、このチームは来ている。
ちなみに筑波大には、2024年の総理大臣杯に続いて2025年の総理大臣杯でも勝利している。関東の大学ですら難しい「筑波2年連続撃破」だ。
3. なぜ地方の大学が、関東の強豪と互角に戦えるのか
このチームの強さの土台は「日常」にある。
僕がこれまで見てきた中で感じるのは、1年生にもチャンスが多く回っていることだ。チームが「成長」や「将来的なチーム軸づくり」を意識しているのかもしれない。
それは地方のリーグ戦が関東・関西と比べ、上位下位の差があるという一見デメリットに見える部分がメリットとして働いているのかもしれない。
Bチームは、北信越の社会人1部リーグに参戦している。Bチームの選手までもが、Jリーグ入りを目指す大人との真剣勝負を日常的に経験しているということだ。トップチームも、リーグ戦の合間にJクラブとの練習試合を多数組んで、プロの強度を定期的に浴びている。
だから、関東の強豪が相手でもあわてない。僕が見てきた範囲では、内容は5分5分。むしろボールを握って、正面から戦う時間のほうが長い試合もあった。あの一発勝負の勝負強さは、この日常の延長にある。
「地方はレベルが落ちるから成長できない」と思っている君にこそ、知ってほしい。環境のレベルは、リーグの名前では決まらない。チームの日常が決める。

4. 物語はまだ終わらない──どん底の2025年と、それでも
2025年度のインカレ。新潟医療福祉大は、地元・デンカビッグスワンスタジアムで行われた予選ラウンドで、大阪体育大に0-0からのPK戦の末に敗れた。まさかの敗退だった。直近2大会で全国準優勝を果たしてきたチームだけに、衝撃は大きかった。
でも、このチームはここからが違った。予選ラウンド敗退チームで争う「強化ラウンド」に回ると、そのまま勝ち上がって決勝へ。相手は、3年前のインカレ決勝で敗れた桐蔭横浜大。あの日のリベンジマッチだった。0-1で迎えた82分に追いつき、90分に2年生MF若林来希選手が決勝点。2-1の逆転勝ちで強化ラウンドを制した。
そしてこの優勝には続きがある。強化ラウンド優勝により、来年度のインカレで北信越地区の出場枠がひとつ増えるんだ。自分たちの勝利が、北信越全体の道を広げた。
ちなみに、同じ大会で日本一になったのは──筑波大。前回の記事で紹介した、2014年に史上初の2部降格を経験したあのチームだ。あれから11年。8大会ぶり10回目の優勝だった。
大学サッカーの物語は、1年では終わらない。君の4年間も、誰かの物語の続きになる。

5. MOISHの意見──「地方大学」という選択肢を君へ
はっきり書く。関東だけが正解じゃない。
リーグ全体のレベルや注目度で関東・関西が抜けているのは事実だし、前回「まず激戦区を観てほしい」と書いたのも本音だ。その上で、MOISHとしての提案はひとつだけ。志望リストに、地方の強化大学を最低1つ入れてほしい。
新潟医療福祉大のように、地方にいながら日本一の一歩手前まで行く日常をつくっているチームがある。試合に絡めるチャンスの早さも、学びたい学部との距離も、寮や学費の条件も、大学によって全部違う。それなのに、多くの高校生の志望リストには、テレビや動画で名前を見た関東の大学しか並ばない。
比べたことのない選択肢は、選べない。だから1つでいい。リストに入れて、関東の大学と並べて比べてみてほしい。



