2026/09/08

学び×資格マップ#1:大学で何を学ぶ?資格から広げる7つの進路

この記事は9分で読むことができます

白井 俊之

東京都大学サッカー連盟 事務局担当
埼玉県大学サッカー連盟 理事
(公財)埼玉県サッカー協会 第1種委員
(一社)関東大学サッカー連盟 社会貢献委員

サッカーを続けたい。

でも、大学選びまでサッカーだけで決めていいのか。

これは、一度立ち止まって考えてほしいところです。

大学の4年間は、競技に打ち込む時間であり、その先の仕事につながる学びを選ぶ時間でもあります。教員やトレーナーを目指す人もいれば、簿記やIT、語学を学んで一般企業に進む人もいる。

どちらも大学サッカーです。

ただ、資格の一覧を眺めるだけでは、自分に合う道は見つかりません。

一度立ち止まって、自分は何が好きなのか、どんなときに夢中になれるのか、誰の役に立ちたいのかを考える。その時間は、大学名や資格名を探すよりも先に必要です。特に高校1・2年生のうちに取り組んでもらいたいことです。

将来を今すぐ決め切る必要はありません。考えて、選んで、違うと思ったらまた考える。大学進学は、その繰り返しを始めるタイミングでもあります。

今回は「サッカーにどう関わるか」だけに絞らず、大学で学べることと取れる資格を7つに分けて紹介します。改めて将来を考えるきっかけにしてみてください。

INDEX

1. 資格を探す前に、10分だけ考えてみる

紙でもスマホのメモでも構いません。次の4つに、自分の言葉で答えてみてください。

・サッカーのどんな瞬間が一番好きか
・競技以外で、つい調べたり話したりしてしまうことは何か
・将来、どんな人の役に立ちたいか
・大学の4年間で、何ができる自分になりたいか

きれいな答えは要りません。

「まだ分からない」も立派な現在地です。資格は、その答えを出すものではなく、自分の興味を試す入口として使えます。まずは気になるものを調べてみましょう。

2. 大学で考えたい7つの資格ジャンル

ジャンル主な資格・検定進路の例
ビジネス・会計日商簿記、FP技能士、公認会計士、税理士、中小企業診断士一般企業、金融、経理、経営、起業、クラブ経営
IT・データITパスポート、基本情報技術者、MOS、G検定、統計検定IT企業、企画、データ分析、スポーツアナリスト
語学・国際TOEIC、TOEFL、英検、中国語・韓国語などの検定商社、旅行、海外事業、留学、海外クラブとの仕事
法律・不動産・公務員宅地建物取引士、行政書士、司法試験、公務員試験不動産、法務、行政、警察・消防、自治体スポーツ振興
教育・子ども教員免許、保育士、司書、学芸員、社会教育主事学校教員、部活動指導、教育、地域スポーツ
医療・健康・福祉理学療法士、管理栄養士、公認心理師、社会福祉士、アスレティックトレーナー医療、福祉、栄養、心理、選手サポート
スポーツ専門JFA指導者・審判資格、JATI、NSCA、スポーツ施設管理・運営コーチ、審判、トレーナー、分析、クラブ・大会運営

まず最初に決めたいのは資格名ではなく、「何を知れると、自分は面白いか」です。

数字や経営が好きなら簿記。パソコンや分析が好きならITパスポート。海外に興味があるなら語学。人を教えることが好きなら教員免許など。

サッカーとは直接関係のない資格でも、卒業後の選択肢を広げる可能性を秘めています。
例えば、クラブの会計、広報、データ分析、スポンサー営業など、あとからスポーツにつながることもあります。一般企業に進んでも、いろいろな角度からスポーツに関わることができます。

3. 一般学生が始めやすい資格は?

まだ仕事のイメージが固まっていない人は、次のあたりから調べると入りやすいです。

日商簿記

会社のお金の流れを読むための資格です。経理志望だけのものではありません。売上、利益、予算の考え方が分かるので、営業や企画、将来の起業にも使えます。クラブや大会を運営する側に回ったときも、お金の知識は避けて通れません。

ITパスポート

ITの基礎に加えて、経営、法律、セキュリティ、プロジェクト管理まで扱う国家試験です。文系・理系を問わず受けられます。スポーツ分析に進まなくても、デジタルを使わない仕事はかなり少ない。大学1・2年次から狙いやすい資格です。

TOEICなどの語学試験

英語力を点数で示せるため、就職や留学の準備に使われます。海外でプレーしたい人だけのものでもありません。海外クラブの情報を読む、外国籍の選手と話す、国際大会を運営する。サッカーとの接点も意外と多いです。

FP技能士

税金、保険、年金、資産形成など、生活に近いお金を学びます。金融・保険業界を考えている人はもちろん、自分の生活を守る知識としても役立ちます。プロを目指す選手にとっても、契約や収入の管理は他人事ではありません。

4. 人気が高い「教員」という進路

大学サッカーを続ける選手の中で、保健体育の教員を目指す人は少なくありません。

教員免許は、教職課程のある大学・学部で必要な科目を履修し、教育実習などを終えることで取得できます。

ただし、教員免許を取ることと、実際に教員として採用されることは別です。公立学校の教員になるには、自治体ごとの教員採用試験に合格する必要があります。

だから大学を比べるときは、「教員免許を取れるか」だけで終わらせず、教員採用試験の合格者数・採用者数までチェックしてみてください。

その数字から見えてくることは、次のとおりです。
・教員を本気で目指している学生がどれくらいいるか
・同じ目標を持つ仲間と学べる環境があるか
・筆記、面接、模擬授業などの対策が整っているか
・大学が教員採用に強みを持っているか

人数だけでなく、受験者に対する合格率や、どの自治体・校種・教科で採用されているかも見られると、さらに実態が分かるので、そこまでチェックしてみることをおすすめします。

サッカー部の先輩に教員採用試験の合格者がいるかも、大事な確認ポイントです。競技を続けながら、いつから試験勉強を始めたのか。教育実習の期間に部活動とどう両立したのか。数字と一緒に、実際の経験も聞いてみてください。

教員採用で特徴的な実績を持つ大学

そんな中で、特に採用数が多く、特徴が分かりやすい大学を3校紹介します。

  • 日本体育大学|高校教員の採用者数で全国3位
    「大学ランキング2027」の2025年データでは、高校教員の採用者数が76人で全国3位。特別支援学校教員も40人で全国2位に入っています。体育・スポーツを専門的に学べる環境に加え、大学サッカーに本気で取り組みながら教員を目指す進路を考えやすい大学です。
  • 順天堂大学|「教職の順大」を支える129人
    スポーツ健康科学部では、2024年度採用の教員採用試験で129人が合格。内訳は現役67人、既卒62人です。中学校・高等学校の保健体育免許を中心とする学部構成を考えると、保健体育教員を目指す人にとって注目したい実績です。関東大学サッカーの高いレベルで競技を続けながら、教職を目指せる環境があります。
  • 文教大学|「人数」で私立大学トップ
    「大学ランキング2027」では、小学校・中学校の教員採用者数が合計337人。国公立を含めて全国4位、私立大学では1位です。教員を目指す仲間や卒業生の多さが見える大学です。

少人数で先生を目指す学生の割合が高い大学もあれば、多くの卒業生を教育現場へ送り出している大学もあります。ランキングを見るときは、率と人数のどちらを比べているのかまで確認すると、より実態が分かりやすくなります。

5. 消防・警察・役所などの公務員

消防士、警察官、市役所・県庁などの行政職も、大学生に人気の高い進路です。

これらは大学の単位だけで就ける仕事ではありません。自治体や機関ごとの採用試験を受け、筆記、面接、論作文、体力試験などを通過する必要があります。

大学を見るときは、次の情報を確認することをおすすめします。
・公務員試験の合格者数・採用者数
・消防、警察、行政職などの内訳
・学内の公務員講座や模擬試験の有無
・面接・論作文・体力試験の対策
・体育会学生向けの受講時間やオンデマンド対応
・サッカー部卒業生の主な就職先

公務員就職に強い大学例

  • 日本文化大學|警察
    警察官実就職率18年連続No.1と公表。2026年3月卒業生は、警察官・消防士・法務教官・刑務官・市役所職員などを含む公務員就職率が58.5%(117人/定員200人)でした。サッカーのスポーツ推薦型選抜もあります。
  • 国士舘大学|消防
    令和6年度は警察官・消防官の就職者数が合計228人で、どちらも全国1位と公表。消防官就職者数は四年制大学で14年連続全国1位としています。救急救命士を目指せる体育学部スポーツ医科学科も特徴です。
  • 中央大学|役所・行政職
    地方公務員の就職実績を職種別・年度別に公開しており、2025年度は都道府県Ⅰ類への就職者が135人。年間20回の公務員プログラムや、行政機関52団体と連携したセミナーなども実施しています。
  • 大阪体育大学|教員・警察・消防を広く見る
    2025年度の公務員試験現役合格者は111人。内訳は警察52人、消防46人、その他13人です。教員採用と公務員の両方を候補にしたい人が比較しやすい大学です。

サッカーで身につけた体力や継続力、チームで動く力は強みになります。

でも、それだけで受かるわけではありません。競技を続けながら、試験対策の時間を確保できる大学か。ここまで見ておくと、入学後の動き方が具体的になります。

数字の見方
「教員・公務員に強い」と書かれていても、実績の年度や対象人数が分からない場合があります。単年度だけでなく直近数年の実績を見て、合格者数と採用者数、可能なら受験者数も確認してください。

6.「取得可能」の意味を確認する

大学案内に書かれた「取得可能」は、同じ意味ではありません。
・所定の単位と卒業で取得できる
・国家試験などの受験資格を得られる
・講習や試験の一部が免除される
・大学とは別に講習・試験を受ける

人数制限、学内選抜、実習、追加費用がある場合もあります。

資格名を見つけたら「誰が」「いつ」「どの条件で取れるのか」まで読みましょう。

7. 今週、やってみること

いきなり大学を検索する前に、まず10分だけ自分の将来と向き合ってみてください。

そのあとで、気になるジャンルを2つ選びます。

1つは、将来の仕事に近いもの。

もう1つは、純粋に学んでみたいもの。

今の答えが、半年後に変わっても大丈夫です。大切なのは、誰かの正解を選ぶことではなく、自分で考えた跡を残すことです。

ここまで考えたら、次はMOISHで大学検索をしてみよう。

気になる資格や学部、大学サッカーでの関わり方を手がかりに検索して、「ちょっと気になる」と思った大学をまずは入れてみてください。

最初から1校に絞る必要はありません。3校ほど入れて、次の4点を比べてみましょう。
・学びたい学部・学科があるか
・取りたい資格・検定に挑戦できるか
・資格取得や採用試験の支援があるか
・サッカーにどんな形で関われるか(選手/スタッフ/両方)

大学を入れて比べてみると、「サッカーを続けたい」だけでは見えなかった、自分なりの大学選びの軸が少しずつ見えてきます。

少しでも行き詰まったら、LINE相談窓口を利用してみてください。

いまから、サッカー以外の自分も育てられる、目指したい大学を見つけよう!

白井 俊之

東京都大学サッカー連盟 事務局担当
埼玉県大学サッカー連盟 理事
(公財)埼玉県サッカー協会 第1種委員
(一社)関東大学サッカー連盟 社会貢献委員

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