2026/10/08

学び×資格マップ#5:プレーするだけじゃない──大学で「教える側や審判」に挑戦する、新たなサッカーとの関わり方

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白井 俊之

東京都大学サッカー連盟 事務局担当
埼玉県大学サッカー連盟 理事
(公財)埼玉県サッカー協会 第1種委員
(一社)関東大学サッカー連盟 社会貢献委員

トップチームのキャプテンが、別のカテゴリーではコーチになる。

全国大会のピッチに、学生が主審として立つ。

どちらも、大学サッカーに実際にある関わり方だ。自分のプレーに挑戦しながら、教える側も経験する。審判として判断を下し、選手の安全と試合の公平さを守る。大学の4年間は、プレー以外にもサッカーを深く学べる時間だ。

大学を選ぶとき、どのリーグで戦えるか、試合に出られそうかは気になるだろう。でも、もう一つ考えてみてほしい。そこで君は、サッカーの何を学び、どんな立場を経験できるだろう。

MOISHの志向性にある「選手以外の形でサッカーと関わりたい」。この言葉を、今すぐ選手を辞めることだと考えなくていい。

選手を続けながら学生コーチを経験する。学外で指導のアルバイトをする。審判部や地域の連盟で学び、試合を担当する。大学や活動の条件によって、その入口はさまざまだ。

今回は「教える側」を中心に、大学で広げられるサッカーとの関わり方を考えてみよう。

INDEX

1. 国際武道大学──選手を続けながら、学生コーチも経験する

国際武道大学には、選手として活動しながら、学生コーチとして別のカテゴリーを担当する例がある。

トップチームでキャプテンとして活動する選手が、学生コーチとしてチーム内の最も下のカテゴリーも担当していた。トップチームで自分の競技に挑戦しながら、別のカテゴリーでは教える側に立つ。選手と指導者を、二者択一にしない関わり方だ。

プレーを続けたい。でも、教えることにも興味がある。そんな人には、両方を経験する選択肢が、大学での過ごし方を考える材料になる。

その選手兼学生コーチは、担当カテゴリーの選手にその日の練習テーマや狙いを伝え、トレーニングの進め方を説明する。指導者に必要な仕事を、実際の現場で経験している。練習中には、パスのスピードや動き出すタイミングについて具体的に声をかけ、プレーの改善を促すシーンもある。

単に練習を手伝うだけではない。「何を意識して取り組むのか」を選手に伝え、実際のプレーを見ながら働きかける、指導者となんら変わりない役割だ。

自分がプレーできることと、相手が理解し、実践できるように伝えること。その違いに向き合えるのが、学生コーチという関わり方だ。

現場で教えるだけでなく、専門的に学ぶ環境にも目を向けたい。

例にあげた国際武道大学では、体育学科の鈴木健介准教授が「サッカーコーチング論・ゲームパフォーマンス分析」を専門分野としており、サッカー部を担当する教員でもある。担当科目には「スポーツ分析法(サッカー)」「トレーニング指導理論と実践(サッカー)」や演習・卒業研究がある。

「自分はこうやってきた」という経験に加えて、プレーを観察・分析し、指導やトレーニングを考えるための知識を学ぶ。大学で教える側を目指すなら、こうした専門的な学びの環境も調べてみてほしい。

学生コーチとして活動できるか。どんな授業やゼミがあり、誰から学べるのか。現場での経験と、専門的な学びの両方を見ること。それが大学選びのポイントだ。ただし、兼任は「どちらも気軽にできる」という意味ではない。そこは注意してほしい。

また、「学生コーチ」は、大学に入れば自動的にもらえる資格ではない。チームの中でどんな役割を任されるかは、大学やチームによって違う。

2. 大学の外にも、教える側を経験する入口がある

教える経験ができる場所は、自分が所属するチームだけではない。

城西国際大学でプレーする河原くんは、大学生活についてのインタビューで、アルバイトの話になったときにこう答えてくれた。

「今サッカーコーチやってて」

きっかけは、大学の先生と、大学近くのフットサルコートの運営者とのつながりだった。紹介を受けて、同じ部屋の学生と一緒にコーチのアルバイトを始めたという。2026年3月のインタビューでは、始めてからもうすぐ1年になると話していた。

この話から見えてくるのは、選手を続けながら、所属チームの外でも「教える側」を経験できるということだ。

ただし、河原くんの事例は、本人が出会った機会の一例だ。全員に用意された制度ではないので、注意してほしい。

とはいえ、自分がどうしたいか。そこから選べる道の多さは、大学生の特権だ。

指導者ライセンスを、大学の授業で目指す道もある。資格にも、学ぶための入口がある。JFAの指導者ライセンス体系では、Dライセンスは「サッカー指導者の基礎に触れる」、キッズリーダーは「子どもたちが体を動かすことを楽しむためのサポート」をするものとして位置づけられている。

大学によっては、所定の授業や課程を通じて、指導者ライセンスを取得できる場合がある。教えることに興味があるなら、「指導を経験できる現場」と一緒に、「指導について学び、資格取得につなげられる授業」にも目を向けてみよう。

MOISHの大学検索では、指導者ライセンスを取得できる大学に絞り込むことができる。 まずはそこから気になる大学を探し、大学の公式サイトで取得できる資格と条件を確かめてみよう。さらに、学生コーチの活動や学外での実践機会まで調べると、「学ぶ」と「教えてみる」がどうつながるかを想像しやすくなる。

3.「審判」から、全国の舞台を目指す道もある

教えることだけでなく、試合を成立させる役割に興味を持つ人もいるだろう。審判も、大学で本気で取り組めるサッカーとの関わり方だ。

全国大会のピッチに立つのは、選手だけではない。 全日本大学サッカー連盟の活動報告によると、2026年の総理大臣杯では、全国から選出された19名の学生審判員が、全31試合の主審を担当した。学生が、大学サッカーの全国大会を判定する立場で支えている。

大学サッカーには、地域の連盟を通じて審判を育てる仕組みがある。例えば、関西学生サッカー連盟の審判部では、大会での審判活動に加えて、年間10回程度の研修会を案内している。関東大学サッカー連盟にも、学生審判が活動する審判養成コース「CORE」がある。実際に審判員として活動している指導者から、直接学べる。

連盟だけではなく、大学サッカー部内に審判部を持つ例もある。

部内の審判部が、Jリーグのレフェリーでもある指導者のもとで学べる場合もある。体力づくりだけでなく、ボールの位置に合わせたポジショニングや走り方を練習する。ゲームや紅白戦では実際に審判を担当し、週末のリーグ戦や県協会の割り当て試合をこなす。そんな例も多い。

その他にも、サッカー部内の審判部が大学・高校年代の大会を支える活動をしていることもある。審判として成長する現場は、自分の大学の試合だけに限らない。

夏の全国大会として知られる総理大臣杯も、主審は学生審判だ。
大会前の実技・講義に加え、試合日の夜には実際の事例を共有し、インストラクターの解説を交えた研修を行う。全国大会を担当した学生たちは、高いレベルの試合を経験し、準備と振り返りを重ねている。

もちろん、審判部に入れば誰でも全国大会を担当できるわけではない。資格、日頃の活動、育成や選考の過程があり、指導者ライセンスとも別の道だ。資格取得だけで職業や収入が保証されるものでもない。

審判に興味があるなら、MOISHで気になる大学を見つけたあと、公式サイトやサッカー部の情報で、「審判部や学生審判の活動はあるか」「誰から学べるか」「地域の連盟で経験を積めるか」まで確かめてみよう。資格の種類や参加条件、選手との兼任が可能かどうかは、大学サッカー部か、MOISHのLINE相談窓口で確認しよう。

4. 高1・2の今は、「決める」より「確かめる」

今すぐ「将来はコーチになる」と決めなくていい。プレーを続けたい気持ちを、無理に手放す必要もない。

まずは、自分がサッカーのどんな場面に面白さを感じるのかを考えてみよう。

自分のプレーがうまくいくこと。後輩に伝わって、できるようになること。練習の組み立てを考えること。試合を別の立場から見て、判断すること。

興味が見つかったら、大学の名前やリーグの順位だけでなく、4年間で経験できることを調べてみてほしい。

・学生コーチとして活動する先輩はいるか。
・選手との兼任例はあるか。どんな条件で成り立っているか。
・指導を学べる授業や実習はあるか。
・現場で助言や振り返りをしてくれる人はいるか。
・学外の活動やアルバイトは、チームの方針や授業と両立できるか。
・審判に関心があるなら、部内の審判部や地域連盟の育成活動に参加できるか。誰から学び、どんな試合を経験できるか。

「サッカーに関われる」から、もう一歩。「自分は、どんな立場で、何を経験したいのか」まで考えると、大学の見え方が変わってくる。

サッカーを好きな気持ちは、プレーする姿だけに表れるものではない。

誰かができるようになる瞬間を支えることも、試合を成立させることも、サッカーに向き合う一つの形だ。

今の君に必要なのは、一つに決めることではない。大学で出会える関わり方を知り、自分でも確かめてみることだ。

白井 俊之

東京都大学サッカー連盟 事務局担当
埼玉県大学サッカー連盟 理事
(公財)埼玉県サッカー協会 第1種委員
(一社)関東大学サッカー連盟 社会貢献委員

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